知っ得シリーズ⑦ 計画相談支援について
「知っ得シリーズ」は、会活動や支援体制・仕組みなど、知っているようで知らない色々な事について、リレー形式で掲載します。今回は「計画相談支援」について、現在、大阪府下の某相談支援事業所で相談支援専門員として従事している会員がお伝えします。
わたしが計画相談支援の仕事を始めたのは、2012年4月、ちょうど相談支援の充実・強化を目的に制度が改正された時で、同時期に市町村(大阪市は各区)に設置が始まった基幹相談支援センターに入職しました(現職とは別の所)。この時はまだ自分の子どもは福祉サービスを何も使ったことが無く、受給者証のことも知らず、障害福祉のイロハから勉強しました。同年6月公布の「障害者の日常生活及びに社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」(2013年4月1日施行)には、その対象として「精神障害(発達障害を含む)のある方」と明記されています。
高齢者など介護保険利用者の場合、ケアマネージャーがケアプランを作成しますが、同様に障害福祉の分野では、相談支援専門員が一人ひとりのニーズに応じた「サービス等利用計画」を作成し、福祉サービスの利用の調整やモニタリングを行います。これが「計画相談支援」です。
障害者総合支援法下のサービスは、障害者と障害児で明確に分かれます。
障害者へのサービス(自立支援給付)には、介護系サービスの介護給付、社会生活支援の訓練等給付、相談支援、地域生活支援事業があって、おたふく会の会員の子どもたちが利用することが多いと考えられるものとしては以下のようなサービスがあります。
➤介護給付:居宅介護(ホームヘルプ)、短期入所(ショートステイ)、生活介護等
➤訓練等給付:自立訓練、就労移行支援、就労継続支援(A:雇用型 B:非雇用型)、就労定着支援、共同生活援助(グループホーム)、自立生活援助等
また、障害児対象のサービスとしては、障害児入所支援、障害児通所支援(児童発達支援等)、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援等があります。 ※他に「移動支援」もよく利用されることのあるサービスですが、国の事業ではなく市町村事業になります。
これらの福祉サービス等を利用したいと考えた時に必要な手続きと、計画相談支援の流れを簡単に書きます。
<サービス利用と計画相談支援の流れ>
① 役所への相談・申請…住んでいる市区町村の役所の福祉の窓口でサービス利用の申請をする。
→障害者手帳や自立支援医療証を持参、かかっている医療機関の情報を伝える。※この申請の際に、計画相談支援の必要の有無を問われることが多い。決まっていれば事業所名を伝える。
② 障害支援区分の認定…役所等の職員(調査員)の聞き取りと、医師の意見書(役所から依頼)をもとに審査をして区分認定をする。(但し、就労系などの訓練等給付サービスでは支援区分認定の必要がないサービスもあり、すぐに受給者証を発行してもらえる場合もある。)
③ 役所や基幹相談支援センターから計画相談支援事業所の手配がある。または利用者が自分で探すこともある。
④ 相談支援事業所の相談員との面談(契約有)にて利用者がサービス利用の意向や希望を相談する。
⑤ サービス提供事業所が未確定の場合には、相談員が適切な事業所を探したり(見学・体験等あり)、支給量(利用の曜日や時間帯、週や月の回数・日数・時間数等)の調整や決定を行う。
⑥ 相談員がサービス等利用計画案を作成し、利用者に内容を確認してもらう。(押印・署名等)→相談員が役所へ提出する。
⑦ 役所がサービス等利用計画案をもとにサービス内容の支給を決定する。→受給者証が発行される。
⑧ サービスの利用を始める。(サービス事業所と契約を結ぶ)※受給者証が後になる場合もある。
⑨ モニタリングを行う。(毎月ごとや3ヵ月ごとなど)…相談員が利用者(本人や保護者など)よりサービス利用の感想や意向を聴き、事業所からも状況を聴き、報告書を作成する。その内容を利用者に確認(押印・署名等)してもらい、相談員が役所へ提出する。計画の見直しがあった場合はあらためてサービス調整を行う。受給者証の期限が来たら、サービス更新の手続きを行う。またはサービス終了の場合は終了モニタリングを行なって計画相談も終了となる。モニタリング時期以外にも、必要に応じてさまざまな相談に応じたり必要な支援を行う。
その他、相談支援全般の支援内容ではあるが、おもに基幹相談支援センターが行う支援としては、ピアカウンセリング、権利擁護のために必要な援助、専門機関等の情報提供、障害者虐待に関する通報届出の受理、障害を理由とする差別に関する相談などがありますので、必要に応じてどんどんと有効活用をしましょう。
(2024年3月会報より)