2026年2月8日日曜日

日本LD学会第34回大会 親の会ポスター展示・親の会懇親会 報告(2025年10月)

 日本LD学会第34回大会

親の会ポスター展示・親の会懇親会 報告

10月18日・19日、日本LD学会第34回大会の会場に設けられた全国LD親の会ブースにて、おたふく会LDグループの活動をポスター展示しました。LDグループとは、これまで年1回開催されていた「LDの子への支援方法等の情報交換交流会」を部会化した新しいグループです。保護者の視点から積極的に情報を収集・学習し、関係諸機関への理解促進を図る活動を行っています。

【作業療法士(OT)との新たな連携の芽】

OTによるICT支援(情報通信技術を活用したAT支援)の仕組み構築を目標に、「パイロット版ディスレクシアプロジェクト」として、8月にLDグループ担当の子どもを対象に実施した内容(詳細は7ページ)をポスターにまとめました。

今回のポスター展示を通じ、全国のOTとのネットワーク形成が進みました。全国親の会のアンケートでも、各地のICT支援不足が明らかです。これを改善するため、日本でもアメリカのようにOTがICTの選定・設定・運用まで担える仕組みを整備すべきだと考え、この趣旨に賛同し、ともに活動いただけるOTとの出会いを目標としていました。今後は、①アセスメント → ②機器選定・設定 → ③指導・定着支援 → ④学校・保護者連携 → ⑤フォローアップという一連の流れをモデル化し、学校現場で誰もが支援を受けられる恒久的な仕組み(実装)を検討しながら、ディスレクシアプロジェクトとして発展させていく予定です。

【先輩方との出会いと学び】

18日に行われた全国LD親の会懇親会では14名の保護者が集まり、各親の会の方々と交流を深めました。発達障害者支援法の成立に関わった先輩方から貴重なお話を伺うことができ、超党派の議員立法実現の背景には、親の会による粘り強い活動があったこと、『声を上げ続ける力』が制度を動かしてきた歴史に触れ、深い感銘を受けました。また、「学び方の違う子の親の会 ルピナス」とも意見交換を行いました。今後も東西で連携し、活動を盛り上げる方向で対話を続けます。

(2025年11月会報より)

日本LD学会大会に参加して ~今後につなぐ新たな一歩~ LDグループ(2025年10月)

 日本LD学会大会に参加して

 ~今後につなぐ新たな一歩~ LDグループ

日本LD学会第34回大会におたふく会LDグループより2名参加しました。参加にあたっては①講師へ直接質問 ②名刺交換 ③ネットワーク形成を目標に掲げ、いずれも達成。研究者・専門職とつながり、今後の活動に直結する成果を得ました。

【早期発見の国際的潮流 ― Nadine Gaab先生の講義より ― 】 

米ハーバード教育大学院のNadine Gaab先生は「発見や支援は早ければ早いほど読み書き力の向上チャンスが増える。就学を待つ必要はない」と強調されました。私が実施している他の活動で就学前児童のアセスメントに課題を感じていたため、「日本には就学前の読み書きアセスメントツールが存在しないが、どう対応すべきか」と直接質問。先生からは「自作ツールの日本語化は不可能ではない。小児科医の協力があれば開発可能」との明確な回答を得ました。さらに「診断ではなく『リスク評価』として早期支援を行う」「学校での失敗を待つ必要はない」との示唆に加え、最後に「必要な協力は惜しまない」という温かいメッセージもいただきました。日本の支援体制・制度設計にとって極めて重要な視点と大きな励ましです。

【テストにおけるICT配慮 ― 井上賞子先生の指定討論 ― 】 

指定討論「テストとICT」では、授業だけでなく『評価の場』での合理的配慮の必要性が議論されました。「テストは子どもの自己効力感を育てる場」であり、正当に評価されることが学びへの意欲を支えるという指摘に深く共感しました。会場では「働き方改革を理由にルビ打ちを拒否された」事例も紹介。私自身、息子の入試で同様の経験があり、学校と対話しながら技術的助言や代替手段を提案することで乗り越えました。息子の中学校も、テストの重要性と子どもの学ぶ権利を尊重していたため、建設的な対話が実現したと考えています。また井上先生には大阪府の公立高校における合理的配慮の現状を共有し、「学ぶことの権利」は基本的人権の側面を持ち尊重されるべきであることを直接お伝えしました。テストでの配慮は特別扱いではなく、学びの公平性を守る合理的配慮であることを再認識しました。

【おわりに ―目標達成と御礼― 】 

学会参加で掲げた①直接質問 ②名刺交換 ③ネットワーク形成はすべて達成しました。得られた知見とつながりを当会の活動に確実に活かし、会員・お子さまはもとより、まだ会員でない大阪府民の皆さまにも寄与できるよう取り組んでまいります。

また、今回ともに参加したOさんには、彼女の支えがなければ目標達成は叶わなかったと心より感謝申し上げます。このたびの学会派遣の機会に、深く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。 (N)

(2025年11月会報より)

アドベンチャークラブ 夏の恒例 「初谷川川登り」(2025年8月)

 アドベンチャークラブ

夏の恒例 「初谷川川登り」 

8月3日(日)大谷先生のご引率のもと、初谷川川登りに行ってきました。6家族18名、幅広い学年の方にご参加いただき、冷たくて澄んだ川で楽しく過ごしました。

【初参加の方の感想】

○先生や保護者の皆さま、中学生や高校生の先輩たちに優しく接していただき、教えていただいたり、遊んでいただいたりして、いきいきと過ごす我が子が見られました。もちろん親もたっぷり楽しませていただき、ご参加の皆さまが醸し出す『大きな家族』のような温かい雰囲気と豊かな自然の中でとても癒やされました。なかなか自分たちだけでは経験できない素晴らしい企画をしていただき本当にありがとうございました。来年もぜひ参加させていただきたいです。(U)

○行きの道中は、どうなるかと思いましたが、会の皆さまが声をかけてくださったり、助けていただいて、子どもたち2人とも笑顔で楽しい体験をさせてもらえました。「楽しかった!また行きたい」と言っていました。子どもたちが楽しんでいろんな体験をできたこと、皆さんに助けてもらったこと、成長したお兄ちゃんたちのカッコいい姿、優しい佇まいを見せてもらえて元気をもらえました。お兄ちゃんたちの自然体で場を楽しみつつ、さりげなくみんなに優しい姿がとても素敵で心があったかくなりました。できないこと嫌なことよりもできること楽しいことに目を向けて、今を楽しめるようになれたらいいなと思います。(H)

(2025年11月会報より)

進路進学交流会 ~先輩会員の方にお話を聴く会~&アンケート閲覧(2025年6月)

 進路進学交流会

~先輩会員の方にお話を聴く会~&アンケート閲覧 

6月22日(日)13時からドーンセンター中会議室で、高校在学中のお子さんを持つ4名の会員さんにお話をしていただきました。4人の会員さんは、お子さんの困り感に寄り添い、出来る工夫や対策、中学校での生活や高校進学に向けての準備、進学先を決定した経緯などについての経験や情報を惜しみなく提供してくださいました。特に、フリースクールとの連携や実業系高校の取り組みを具体的に教えてもらい進路先の高校も進化していると感じました。参加者は、これから高校入試を控える中学生や小学生の保護者が4名参加しました。日常的な事から入試の事など、気になる事や不安に思う事を質問し直接丁寧に回答をしてもらい、見えない不安や焦りにも見通しが持て、前向きな気持ちになれたのではないでしょうか。特に、思春期の娘をもつ父親が話題提供者にも参加者にもいて互いに話が盛り上がっていました。貴重な時間を過ごすことができました。

(2025年11月会報より)

LDグループ パイロット版ディスレクシアプロジェクト(2025年8月)

 LDグループ パイロット版ディスレクシアプロジェクト 

8月24日(日)ドーンセンター小会議室にて大阪府作業療法士会に所属する作業療法士(OT)2名の協力を得て、LD当事者の子どもたちのiPad使用がうまくいかない背景を探る機会を設けました。困りごとを自ら話したり、写真を見せたりしてOTと共有する中で、自分が置かれた状況を一緒に分析・整理・理解し、スモールステップで目標を定め、それに向かうための具体的な方法を探ることができました。

事例①:中学2年生の男児

ADHD・ASD・LDの診断を受けた彼は、ICTの使用許可を得ているものの、日常的には活用していませんでした。OTとの対話を通じて、自分の学習スタイルやモチベーションを見つめ直し、視聴学習やクイズアプリを活用した勉強法を自ら提案するまでに至りました。

事例②:小学6年生の男児

「ICTなしには読み書きが困難」と診断され、iPadを導入した彼は、整理整頓の難しさから活用が進んでいませんでした。OTとのやりとりを通じて、片付けの意味や方法を理解し、『掃除させられる』から『掃除して使いやすくしたい』へと意識が変化。ICT活用の環境整備の重要性が改めて浮き彫りになりました。

【今後の展望】

ADHD・ASD・LDの子どもたちにとって、ICTを活用することの必要性や重要性は広く認識されつつあります。しかし、単に「ICTの使用を許可する」だけでは、子どもたちが自分で使えるようになるわけではありません。特別支援学校で点字機の使い方が教えられるように、ICTについても学校や家庭、地域での長期的な伴走支援が不可欠です。

特に作業療法士(OT)は、ICTの操作方法を教えるだけでなく、ADHD・ASD・LDを含む多様な特性を包括的にアセスメントし、子どもの環境に合わせた具体的な解決策を提案できる専門性を持っています。米国ではすでに学校OTによるICT支援の人材育成や配置が進み、継続的な支援体制が法的にも整備されています。日本でも、学校や放課後等デイサービスなど、どの地域でもOTからサポートを受けられる仕組みが望まれます。

今回の取り組みは、その第一歩として大阪府作業療法士会と連携し、プログラムを企画しました。ぜひ、関心を持ってくださる方々と一緒に、この仕組みづくりを考えていけたら嬉しく思います。どうぞお気軽にお声がけください。

(2025年11月会報より)

会社見学会に行ってきました!(2025年7月)

 会社見学会に行ってきました!

7月31日(木)、(有)奥進システム見学会に参加いたしました。参加者は会員3名とその子どもの計4名でした。見学会では、在宅ワークの工夫、それぞれ使いやすいPC・机・椅子など環境面での配慮、タスク管理を社員全員で共有、社員の方々の障がいへの向き合い方などをお聞きすることができ、大変参考になりました。

【参加者の感想(抜粋)】 

○親子共にコンピュータのことは苦手なので場違いかも…と思いましたが、わかりやすくお話していただけてほっとしました。皆さん生き生きと働かれているお姿や、長く働きたい、福祉に頼らないようにと皆さんとても努力されてきたお話をご本人から直接お聞きできて、とてもありがたいと思いました。様々な配慮も初めて知ることばかりで、息子も『パソコンが得意な人はこういう会社で働けるんや…』と、うらやましそうでした。ありがとうございました。

(2025年11会報より)

ディスレクシア月間啓発の要望書を提出しました(2025年10月)

ディスレクシア月間啓発の要望書を提出しました

全国LD親の会が参画している「ディスレクシア月間実行委員会」では、毎年10月を「ディスレクシア月間」としてより広く啓発を進める様々な取り組みを進めています。

全国LD親の会に所属する当会では、今年度も大阪LD・軽度発達障害親の会「翼」とともに、府下の公立図書館や学校図書館を所轄している教育委員会や図書館合わせて84か所に要望書および啓発チラシを提出しました。ディスレクシアなど読むことに困難のある人達が一人ひとりに合った方法で読書ができる環境の充実を求める働きかけを行いました。

【全国LD親の会の学校図書館用要望項目より】

1、音声化された図書、ルビがふってある図書、電子化された書籍等(映像を含む)などが利用できる環境を整えてください。サピエ図書館や国立国会図書館等、他の図書館が所蔵する視覚障害者等用データの送信サービス等について、必要とする児童生徒への情報提供や利用者登録についての支援をおこなってください。

2、アクセシブルな図書・学習教材等が、求めている児童生徒へすみやかに届くよう、「学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム」を推進してください。

https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_01809.html

3、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)」第二条にあるように、この法律における「視覚障害者等」とは、視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍について、視覚による表現の認識が困難な者であることなどの啓発活動をおこなってください。

(2025年11月会報より)

学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム

読書の秋、おすすめ書籍を紹介します!(2025年11月)

 読書の秋、おすすめ書籍を紹介します!


『日本のLD史を語る』(日本文化科学社、2025年) 

編著:上野 一彦

<全国LD親の会よりおすすめ> 

上野一彦先生による新刊『日本のLD史を語る』が、2025年5月30日に日本文化科学社より発売されました。本書は、LD(学習障害)という概念が日本に浸透する以前から現在に至るまでの支援の歩みを、上野先生の視点で振り返る貴重な記録です。全国LD親の会についても丁寧に取り上げられており、親の会の活動の歴史的意義が深く描かれています。

商品URL https://www.nichibun.co.jp/seek/book/73702.html 


『ことばが出ない?遅い?通じない?を解決する! インリアル・アプローチ事典 

0歳から使える最強のコミュニケーション指導法』

 (薫化舎出版会、2025年)

日本INREAL研究会 監修:竹田 契一

著者:河内 清美・石井 喜代香・大垣 徳子・永安 香・松尾 育子

<会員よりおすすめ> 

ことばが出ない?遅い?通じない?そんなお悩みを解決!インリアル・アプローチとは、ことばの遅れや自閉スペクトラム症、中・重度の知的能力障害のある子どもから高次脳機能障害のある成人まで、ことばが出ない・遅い・通じない人の学習とコミュニケーション能力を促進させる指導法です。かかわる側が対応を変え、楽しいコミュニケーション経験を積んでもらうことを通して意欲を持って『対人関係能力』『判断・行動できる力』を涵養(かんよう)することを重視します。入門編と理論・実践編に分かれているため保護者・保育士・幼稚園教諭から言語聴覚士など療育の専門家まで対応。豊富なイラストと事例でわかりやすく、コミュニケーション支援の理論と実践がまるっと学べます。

 商品URL https://kg-jcra.org/kunkasha-publishing/


『障害者雇用で幸せになる方法 もにす認定5社の企業戦略』 (ラグーナ出版、2023年)

監修:砂長 美ん

<会員よりおすすめ> 

中小企業で障害者とともに働くことのメリットがわかりやすい本です。障害者が働きやすい・働き続けられる環境を工夫し整えることで、従業員全員にやさしい職場作りに努めてこられた企業のお話はとても参考になります。厚労省の「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」についても大変詳しく解説され、都道府県別のもにす認定事業主一覧も掲載されています。

商品URL  https://store.lagunapublishing.co.jp/items/79388852


『生活をゆたかにする性教育 障がいのある人たちとつくるこころとからだの学習』

(クリエイツかもがわ、2015年)

著者:千住 真理子 編者:伊藤 修毅

<会員よりおすすめ> 

おたふく会総会特別企画で、性教育をテーマに講演していただいた千住先生の著書です。からだの仕組み、異性とのつきあい方、妊娠出産のことから、性にまつわる商品まで幅広く網羅されている1冊です。残念ながら既に品切れとなっている書籍ですが、図書館で借りられるそうです。


『発達が気になる子の子育てモヤモヤ解消ヒントブック ―親の会30年の経験からー』

監修:安住 ゆう子  編集:全国LD親の会

<既刊> 

社会の中で生きるちから編

集団の生活編

生活の基礎作り編

<全国LD親の会ホームページより> 

全国LD親の会会員から、主に幼児期・学童期の困りごとや悩みのエピソードを集めました。子どもの伴走者として、悩みながらも子どもに合わせて工夫したことやヒントになりそうなアドバイスをテーマごとにまとめています。現在、子育て奮闘中の皆さんの参考になればと思います。

かもがわ出版 http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ha/1248.html 

(2025年11月会報より)